「河津バガテル公園」は、パリのブローニュの森にある「バガテル公園」を再現した公園で、その姉妹園にもなっています。フランスの「バガテル公園」は、世界的に名高いローズガーデン。もとは18 世紀にルイ16 世の弟、アルトワ伯爵によって作られた庭園を、1905 年にパリ市が買い取り、その後、100 年余をかけて今の形になりました。
日本での初めての再現にあたっては、パリの技術者たちが来日して直接指導にあたり、18 世紀の天才造園家フォレスティエの精神と、フランス庭園の伝統的な構造が忠実に再現されました。フランス文化のエスプリに、伊豆の自然や日本人の感性が融合した美しいガーデンです。
3ha の広大な敷地に、軸線を設定して左右対称に広がる幾何学模様のフランス庭園には、1100 種6000 株のバラが植えられています。日本ではなかなか見られないフランスの品種はもちろん、日本の育種家作出の品種や皇室ゆかりのバラなど、身近なものから大変貴重な品種まで、たくさんのバラを楽しむことができます。
注目なのは、公園オープンの2001 年に、パリ市から友好記念として贈られた黄色いバラ。川端康成の名作に登場する踊子の可憐なイメージと、「黄八丈」の着物の色にちなんで“伊豆の踊り子”と名づけられ、「河津バガテル公園」の公園花にもなっています。他にも、ここで日本初披露されたフランスメイアン社の2006年新品種「プチトリアノン」、開園5周年記念で寄贈された「クィーンバガテル」など見逃せない品種もいろいろ。パリ「バガテル公園」で毎年開催されている「国際バラ新品種コンクール」の受賞作品も揃っています。
「平面的なガーデンではなく、立体的な構造になっているのが特徴です。背丈ほどのバラの下にブッシュ状に背の低いバラを植え、ところどころに36
基の高いオベリスク(モニュメント)を配置するなどして、高低差を出しています。
さらに、広さや、展示物の高低差を使った遠近法も多用されています。全体が、土地だけでなく空間まで活かした、立体的な芸術作品になっています。」と、支配人の山田豊さん。
庭園を歩いていると、あちこちに景観を楽しむ仕掛けが施されていることに驚かされます。たとえば、「パーゴラ」という80mも続くバラのアーチ。ツルバラのトンネルになっていますが、それぞれの四角い木製の枠組みが額縁の役割を果たして、額に入った1枚の絵のように景色を楽しめます。あるベンチも、休むためというよりも景観を楽しむための配置に。「海の見える丘」は冬至と夏至を計算して、初日の出が真正面に見え、光が庭園を一直線に反対側まで届くように設計されているそうです。
園内には、18世紀のパリの街角をイメージした「フランス広場」もあります。
バラの香りをベースに本格的な調香を体験できる「パフューム工房」、フランス直輸入の雑貨や食品などが並ぶショップ、オープンテラスのカフェや、マリーアントワネットが建てた田舎小屋「アモー」を再現したフレンチレストランがあります。パリジェンヌ気分でショッピングやランチ、ティータイムが楽しめます。
「まずは庭園ありき、そこにバラがあり、街並みがあり……。観光施設というよりも、文化的な庭園としての位置づけにある公園です。」と山田豊さん。
伝統と格式のあるフランス文化の薫りと美意識を堪能できる公園です。
静岡県賀茂郡河津町峰1073
0558-34-2200
●開園時間:9:30 ~ 17:00(入園は16:30 まで)、12 / 1 から4 / 27 の間は、~ 16:30(入園は16:00 まで)
●休園日:年中無休 (荒天時閉園)
●入園料:入館料 大人1000 円、小人300 円(12 / 1 から4 / 27 までは大人500 円、小人100 円)、小学生未満無料
団体(15 名以上)割引あり
※その他ランチセット券や期間限定入園セット券あり
●アクセス:伊豆急行河津駅より車で約7 分、
シャトルバス運行(片道大人200 円、小・中学生100 円)で約13 分
●駐車場:あり(無料)
●URL:
http://www.bagatelle.co.jp/